富士五湖チャレンジウルトラマラソン大会【当日編】

と、言うわけで朝、いや深夜の2時半に起床。3時半に宿を出発して会場までは30分と考え、スタートが5時なのでまぁ仕方が無い。。前の晩は9時過ぎに寝たとはいえ、何度も起きてしまい正直十分な睡眠を確保した感覚は無い。まぁ、いつもこんな感じと言えばそれまで。
前日に買出しをしておいたパンやらコーヒーで腹ごしらえ。アイアンマンの場合は、固形物を補給出来るまでに起床から随分時間が掛かるので、朝はしっかり食べている。ウルトラの場合はスタートしてからすぐにエイドもあるし、パンやらチョコやらおにぎりがしっかりと用意されているので、朝がた無理に食料をお腹に詰め込む必要も無い。
さぁ、いざ会場へ。しかし寒いなぁ。スタートまではとても外には居られそうにないので、建物の中で時間を潰す。アナウンスだと外気温は5度。おまけに前日の雨が少し残っている。早く回復してくれないかなぁ。。
4時半、カテゴリーが一つ上の112kmの選手達がスタート。みんな頑張れ〜!と、心の中で見送る。最後にもう一度トイレを済まして外に出ると、薄っすらと夜が明けてきた感じ。さぁてといよいよスタート、なんだけど、どうも選手全体に緊張感は無い。スタート1分前なのに、まだ建物から出てこない人もたくさん。スタートラインに詰めるなんてこともない。さすがにこれから14時間の長丁場。誰もが今に慌てることなく、静かにゆっくりと、そしてリラックスをしながらスタートを待っている雰囲気だった。まさにこれがウルトラマラソンの特長なのかもしれないかな。
5時、いよいよ自分が挑戦する100kmレギュラーカテゴリーの738人がスタートした。今日の自分に課したいくつかの課題は、50kmの着替えポイントの中学校に11時に着く。そして68kmの本栖湖に1時着を目指し、そこまでは”絶対に歩かない”こと。とは言え、あんまりシリアスにはなり過ぎずに、持参する携帯で写真を撮りながらリラックスして走ること。最後は前回リタイア宣言をした90kmの関門には、残り2時間を残して到着することを目指し、最終の目標はもちろん完走とした。
さて、スタート後は焦らず、慌てず、たとえかなり後方に位置していたとしてもゆっくりとしたペースを守る。km7分ちょいのペースにしたいので、2.5kmごとの距離表示も全てラップを計る。途中エイドがある時は20分弱。無ければ17分から18分が丁度良いので、そのペースを守りながら走るように心がける。
10kmを超え、いよいよ山中湖に入る道へ。ここで、既に山中湖を回ってきた先頭のランナーが先導車とともに前方からやって来た。えぇ、マジ?速えぇ〜。これがウルトラランナーなんだなぁ。ちなみにこの方、自分が45km付近(彼は本栖湖を折り返ししているので80km地点くらい)でもトップですれ違い、全く変わらないスピードで先頭を走っていました。しかし、どういう練習をすればああなるのか。同じ人間とは思えない感覚。。


まだ、朝の6時過ぎ。霧と朝もやの静かな山中湖。大会関係者や選手の知り合い以外、誰も居ない寂しい湖畔。でもきっとG・Wの後半は人手で凄いんだろうなぁ。。
山中湖を後にする頃、大体25kmを過ぎた辺りからようやく青空も見えはじめて今日がいい天気になる予感が。いいぞ、いいぞ。足の調子も悪くはなく左足の痛みも目立っては出てこない。このまま行って欲しいなぁっと。


富士吉田手前の忍野の集落では、まだまだ桜が満開。ちょっと曇っていたけど、後方の選手の邪魔にならないよう桜を撮影。
忍野から幹線道路に出て、中央高速のICまでは下り基調。ここが歩道を登ったり降りたりで結構ツライ。かなり足にきた感じがしてその後すぐに登りが。ここで37.5km地点のエイド。ちょっと疲れたかなぁ。。この後、家族の応援もあり、道路も河口湖大橋までが下りなのでまた回復。


大橋を渡る時は長男も伴走して約1kmを。他の選手の方から「息子さんの伴走なんて、いいねぇ〜」。一気に気分はリラックスモード。で、ふと後ろを振り返ると、雲間からどぉ〜んと富士山が顔を出していました。カメラを持っているランナーは皆が振り返って写真撮影に。やっぱり富士山はでっかいなぁ。。


河口湖湖畔を快調に進み42.195kmを通過。ん〜ウルトラは長いなぁ。ここまでで4時間50分。途中、湖面と富士山が綺麗に見える場所があったので、またもや富士山をパチリ。こうやって途中止まったりするのがどうかとも思ったけど、単調にならず足にも良い感じでリラックス出来ている。

さて、もう少しで50km地点の体育館のエイド。時間は丁度11時少し前。なんとか最初の課題をクリアしてホッとする。着替えを今回はせずに、いつものエイド同様簡単に補給だけ済ませてすぐにコースへと。西湖までの急坂登りも心拍が上がり過ぎないように、且つ歩かないようにゆっくりと登っていく。
ようやく西湖に到着。クネクネの湖畔道路に前回は物凄くストレスを感じたが、今回はペースが速いのですぐに湖の端っこに着いた感じ。ただ約6km近くエイドが無かったので、それがちょっと辛かったかな。
57km付近のエイドに到着。ここではウドンやおにぎりと食事モノがたくさん。家族達もここで待っててくれていた。長男、次男は他の選手からウドンを貰い、美味しそうに頂く。ゆっくりはしたい気持ちがあったが、本栖湖まで10km。課題の1時着が厳しくなってきたので、休憩も早々に切り上げ出発。
幹線道路に出てから樹海大橋を一気に下ると精進湖が見えてくる。と、ここでトラブル発生。5本指のソックスを今回は履いていたが、指が締め付けられて痛いの何の。特に下り坂ではシューズの中で指がずれ、余計に締め付けられる感覚。急遽、家族に電話して車に入っている別のソックスを持ってきて貰うようお願いを。こんな時は携帯電話と家族に感謝。。しばらく家族が追いつく5kmばかりをソックス無しで走る。あぁ、気持ちいい。でも、間違いなくあと30kmをこのまま走ったら靴擦れを起こすだろうなぁ。。少ししてから家族の車が追いつき、無事ソックスを交換。ふぅ、助かった。

そこからまたペースを上げ本栖湖を目指す。1時着はちょっと厳しいけど、まだまだ歩きたくなるような感覚にはならない。
ようやく1時半に本栖湖折り返し地点に到着。ここまでで68km。ちょっと疲れたかなって感じ。でも、よく本栖湖まで一度も歩かずに来れたなぁってほうが強く、ここまで来れれば何とか完走できるはず、と少し自信が沸いてきた。さて、ゴールを目指して戻るぞ!
70km地点も無事過ぎて73km辺りから樹海大橋の長い登りに差し掛かる。ここで予定通り歩きを入れた。今回初めての歩き。これはしょうがないけど、ここで無理をして途中つぶれるよりはいいだろう。積極的に腕を振りながら登りを歩く。
登りが終わってからは、また元のペースで走り始める。歩いたせいか、足の痛みが和らいだ感じ。と、ここでサプライズ。前方から路肩をゆっくり走ってくる大型Bikeからいきない「Utasan頑張れ〜」。最初は全く理解出来なかったけど、なんとT屋夫妻がタンデムをして応援に駆け付けてくれた。いやぁ、びっくりびっくり。T屋くんが来月サロマに出るので、そのモチベーションアップの為にこの大会を応援しに来てくれたとのこと。本当に嬉しいサプライズ応援。その後のエイドでもゆっくりと話が出来て、家内や長男とも約2ヶ月ぶりの再会を祝した。T屋くん、T月ちゃん、本当に有難うございました!!
という訳で元気を貰い、そのまま坂を下って西湖に戻ってきた。ここからがかなりしんどくなってきた感覚。前日遊びに来たコウモリ洞窟の前で1kmほど歩く。うぅ、ちょっとキツイなぁ。
道が下り基調になってまた走り始め、一気に河口湖に通じる交差点まで走り切る。ここから河口湖までが急な下り坂。正直、ここが今回は一番厳しく、筋肉痛が激痛に。下りがキツイ場所はおとなしく歩きを入れる。
河口湖に着いてからは、歩きと走りを交互に入れて距離を稼ぐ。段々と寒くはなってきたが、85kmを過ぎても制限時間まで残りが3時間。よし、万が一このまま歩いてもkm10分で行けば辿り着けるはず。この時かなぁ、一番涙腺が緩んだのは。。なんか、とにかく、どんなに辛くなってもゴールしたい感情が湧き上がってきたのは。。
鬼門の90kmの関門を制限時間の2時間半前に通過。よし、なんとかなるぞ!松坂大輔の言葉じゃないけど、段々と自信から確信に変わってきた感覚。河口湖湖畔から街中にコースを変え、行きに下った道を静かにゆっくりと登る。家族もあちこちで応援してくれている。いよいよ北麓競技場に入る7km手前の坂道に入る。
ここから5kmはひたすら登り。このタイム近辺の周りの選手達で、走る人はもういない。もちろん自分も早歩きで登山を開始。しかしこの坂はキツイ。残り4kmの表示が出る頃は、腕を振り上げ歩くのも辛くなってきて、歩きのペースさえ落ちてくる。ただ、間違いなく完走できる嬉しさからか、ボロボロって感覚でもない。ただ、淡々と前を見ながら他の選手達と歩くだけ。
いよいよ最後の登りが終わって最終エイドステーション。残りは2kmで道は下り。ふぅ、もう終わるんだなぁって思うと、ちょっと寂しくなってくる。
残り1kmを切った時点で遠くにゴールの競技場が見えてきた。そして長男も待っていてくれて一緒に競技場の門まで走ってくれる。有難い限りだし、この長い一日、応援に付き合ってくれて本当に感謝、感謝。
競技場に入ってからはもう感動で一気にテンションが上がってくる。これまで何度と無くLongのトライアスロンに出場し完走を果たしている自分。でも、こんなにも完走を願い最後まで自信が持てない大会は初めて。これで前回リタイアの雪辱を果たすことが出来るんだという感じと、100kmを本当に走っちゃった自分への驚きで正直嬉しかった。
最後、トラックを1週してゴールラインの直線に差し掛かった時、夕日に照らされた富士山が綺麗なこと。思わず、立ち止まって写真を撮ってしまった。まぁ、今回は最後までこのリラックスしたこの感覚が良かったんだと。家族皆が待ち構えるゴールラインに、13時間16分で到着を果たした。やったぁ〜、あぁ〜でも、本当に疲れたなぁ〜。。。。


で、この精も根も尽き果てた状態。しばし放心状態。でも、やっぱ嬉しいなぁ。。。。


今回、初のウルトラ完走。こんな感動は初めてだし、何よりトライアスロンともフルマラソンとも全く違う別のスポーツを知った感覚。自分の未知の世界を知ったって感じ。それはシューズ選択から違うし、走り方や練習方法まで異なっていた。でも、やっぱりベテランは強いし、年齢や性別に関係なく強い人は強い。これはトライアスロンも一緒。来年もまたウルトラに挑戦するかどうか、う〜正直今はなんとも。。ウルトラの為に大事なトライアスロンの練習を随分と今年は潰してしまったし。でも、何となくまた出たいなぁって気持ちも無くは無い。特に、112kmというもう一つ上のカテゴリーが存在する以上はね。。。。。


ウルトラ完走その後。やっぱり結構な脱水症状が出てきて、気付かずに風呂に入りビールを飲んだらそのまま脂汗が出てきて体が動かなくなる。その後あまりの寒さで布団をかぶっていたら今度は高熱が出てくる始末。慌ててアクエリアスをがぶ飲みしたら落ち着き始め、そのままぐっすりと朝まで爆睡。朝にはケロっとしていた。あぁ〜怖かった。。その代わり経験したこのない”激筋肉痛”と、普段のトレーニングお陰で、カチカチになっている足の裏にマメが。皮が硬いので破けることは無いが、それでもマメが出来るなんて、さすがに100kmも走るとこんなになっちゃうんだなぁ。。いやはや、いやはや。


長い長い、一日がようやく終わりましたとさ。。
で、翌日は子供達の為の日。富士急ハイランドで一日ゆっくり、のんびりと。。。えぇ、もちろんこんな怖い乗り物には乗りません。トーマスランドでゆっくりと遊び子供達は大喜び。帰りは平日なのか渋滞も無く、2時間弱で千葉まで帰ることが出来た。はぁ、楽しい遠征旅行でしたね!!皆アリガトね!

しかし、長いな、このレポート!