佐渡Aタイプ S3.8km B190km R42.2km 中盤を振り返って

Bikeへ移る頃には雨も上がっていた感じ。自分のゼッケンカテゴリは速い選手が集まっているので、Bikeラックには殆どBikeが残っていない。中盤より遅めの選手達のBikeはたくさん残っているが、いつものこととはいえ少し焦ってしまう。早く追いつかなきゃ。。
去年のジャパンからそうだが、フルウェットのスーツがやはりまだ慣れていないらしく、Bikeに移った時点で腕が重い。どうしてもロングジョンと違い腕に対する負荷が強いのだろう、DHポジションを取ろうとすると二の腕が辛くなる。実はこの状態はどうやら一ヶ月前に調整したポジションが合わず、結局190kmの間ずーっと直らなかったのだが。。。
佐渡のBikeコースの特長は、集落と集落の間はアップダウンが続き、集落に入ると平坦な道が続く。ひたすらその連続。登りが不得意な選手の多い佐渡では、平坦な道を飛ばしながら登りではそんな選手が皆ダンゴになっているので、どちらかと言うと登りが好きな自分は一気に大量の選手を登りで抜ける。チームとしてジャパンをメインのレースに設定し、ひたすらオフは登りの練習ばかりしている我がJ-BEATとしては「何故、皆こんなに登りで遅くなるの?」と思うくらい。。練習様様である。自分はDHポジションがとり辛く、平坦な道をずーっとイーブンペースで走る事のほうが今回は厳しかったので、登りが来ることのほうが嬉しくて仕方ない感じ。一回の登りで2,30人を一気にパスして、平坦路では我慢し、また登りで抜く。この繰り返しでBike終了時点では200人ほど抜いたようである。
佐渡Aタイプに出る選手にとって、Bikeでの一番の応援は50km地点のつづら坂にいる、いつものおばちゃんの応援。おばちゃんのいる場所は登りの急勾配。斜度が10%くらいの場所で、どの選手も時速が14,5kmくらいに遅くなる場所。おばちゃんは全ての選手へ「行けぇー、行くしかないぞぉー、がんばれー」って応援してくれる。いわゆる名物おばちゃんの応援なので、佐渡リピーターの選手は皆おばちゃんに労いの言葉を掛けながら登っていく。自分も「おばちゃん、毎年ありがとね〜」と声を掛け、おばちゃんからは「いいよ〜、気を付けてねぇ〜」と。おばちゃん、いつまでも元気でね。
前回の反省から、つづら坂手前でTop10を摂取。おかげで50km先の両津を過ぎても集中力は途切れず、ひたすら前の選手をパスしていく。両津の街に入るとひときわ応援も多くなり、家族達も待っていてくれた。どの選手もペースが上がり始めるが、10人くらいの集団を引っ張って商店街を45kmくらいの速いペースで抜けていく。それにしても後ろの連中、いつまで引っ張らせるつもりだよ、いい加減お前ら前に出ろよな!って感じ。マーシャルがいれば全員ドラフティングでペナルティだぞってくらいの集団走行をしていた。まったく、、、。
両津を過ぎて向かい風がきつくなる。いぜん、アップダウンで前をパスし続けるが、少し集中力が切れ始める。足は全く問題無いが上半身が辛くてしょうがない。ポジションを何度も変えるが楽な乗り方が出来ない。最後のTop10を飲み干し集中力が戻ることを期待する。
そんな時、ふと自分のBikeに貼ってある西村さんの写真が目に入った来た。以前もBlogで書いたが、去年のジャパン直前に練習終了後自宅で心臓発作で亡くなったチームのメンバーである。昨年のジャパンでは皆が喪章を付け走ったのである。トライアスロンを知っている人間は誰もが経験する”ランナーズハイ”。人によって様々な状態になるが自分は必ず涙腺が緩む。この時も思わず涙が止まらず、走れることへの感謝と、西村さんへの想いから集中力が戻ってきた。心の中では「こんな所で何弱気になってんだよ。機械のように足を回し続けろ!」とずーっと叫び続けていた。西村さん、また助けてもらっちゃったね。有難うございます!
そんな状態から160km地点、ようやく小木の街が見えてくる。登り手前のエイドでボトルを全て捨て一本だけ満タンのボトルを受けとる。それも貰ってすぐ半分までドリンクを捨てボトルゲージへ。登り手前のエイドではボトル満タンで坂に臨む人が大半だが、登りで抜きたい人にとっては少しでもBikeを軽くしたい。ボトル2本となればそれだけで1.5kgになるので差は大きい。
佐渡の名物はこの小木の坂。160km地点という、最も疲労が溜まってきている状態からいきなり登りが始まる。最大斜度で13%の激坂。自分が走っている時間帯ではそんな選手は見たことがないが、後ろのもっとタイムの遅い選手達が走る時間帯では、降りて押すヒト、いきなりの痙攣で落車するヒト、様々に選手の前に立ちはだかる名物な激坂なのである。坂に入ると、前半程のペースでは上がれないが、それでも大量の選手のダンゴ状態を一人一人パスしていく。小木が辛いのは登っても登っても、その後ダラダラとアップダウンが続くこと。その距離約20kmと、実はこれが何より一番辛い。自分もかなり切れ始めている。あともう少し、とにかく機械のように回し続けろ、と頭の中で叫び続ける。
ようやく、全ての坂をクリアして集落に下る坂ではこの日最高速度の65kmをマーク。降りながら「お願い、小石が無いように!はぁ〜怖えぇ〜」落車したら即死だなぁなんて思った。Bike終了まで残り10km、真野地区の商店を抜けようやく会場の佐和田地区に戻ってきた。順位は230番くらいまで上げたかな。BikeラックのBikeも思ったよりは少ない。まだそんなには戻って来てはいないぞ。さぁ、これからが自分の課題のRunだ。とにかくここまで上げた順位をどこまでキープできるのか、とにかく気合で走り続けるしかない!
そんな状態でいよいよ最後のRunが始まった。。



とかく集団になりやすい佐渡のコース。上半身の作り方が今回判った課題かな



さぁ、いよいよRunのスタート。実はここで落とし穴が。。とにかく辛かった。。。。